10.1.17 焼岳上堀沢 厳冬期初滑降(多分)

山スキー界のスーパースター三浦氏(三浦雄一郎ではありません)よりの有難いお誘いを
受けて、焼岳東面の落ちる豪快な溶岩流上堀沢を滑降する事になる。
雪崩れの危険のあるこの時期に、こんな急な沢を本当に降りれるのだろうか?
科学と経験に裏打ちされた、計算づく?の一日が始まる

鎌トンネル〜中の湯温泉の間は車で楽チン


早朝の尾根をグングン登る


あっと言う間にもうすぐ頂上。正面が下堀沢


下堀沢横断前に正しいピットチェック


正面のコルに向かい下堀沢源頭横断


地吹雪の中でも心は熱い


下が見えない沢にフォールイン


緊張と恐怖と快感。左側は地熱で地面が出ていた


パウダーは当たり前


慎重に先を読んで、滑降ラインを決める


傾斜が緩まり、後はウィニングラン


何から何まで有難うございました


多分厳冬期初滑降


  焼岳、上堀沢 厳冬期初滑降(多分)
(日付)2010年1月17日(日)
(山域)飛騨山脈
(メンバー)三浦大介、操、篠崎
(天気)概ね晴れ
(タイム)中の湯温泉駐車場発5:10→標高2300mピットチェック8:40〜9
:10→下堀沢トラバース10:00→上堀沢エントリーポイントインスペクション1
1:00〜12:15→上堀沢滑降→梓川合流13:00→釜トンネル入口14:30

(記録)
 山スキー界のスーパースター?三浦氏より、焼岳の上堀沢を滑ろうというお誘いメー
ルが届いた。彼によると中級レベルの好ルートらしい。
 有難い事に三浦氏は、前晩に中の湯温泉に宿泊してくれると言う。氏の手引き?で中
の湯まで車で入れるし、きっとこれは素敵な三浦氏秘蔵ルートに違いない。中級という
事だから、滑降のレベルは下堀沢より少し難しい位だろうと想像する。
 仕事のやり来りには不安はあるが、ここは何とか三浦氏の計画に乗り、美味しい思い
をすると共にその洗練されたテクを学ばせていただこうと考えた。

 朝5時に中の湯温泉駐車場集合、トレースに従って夏道のある尾根を登りだす。ヘッ
ドランプ歩行にはやや急な斜面から始まったが、ファットスキーの力でどんどん標高を
上げた。8時過ぎには焼岳南峰至近の場所まで来ていた。このまま南峰まで登ってしま
うと、火口の稜線が険しいため上堀沢へのアプローチが困難になる。北峰直下の噴気穴
から噴き出す硫黄臭も気になった。

 そこでここは頂上を避け、下堀沢の源頭部を横断し対岸のコルに至る事にする。トラ
バースの前に三浦氏の指示により、1m50cm程の雪を掘り雪崩対策ピットチェック
を行った。その正しく賢いやり方の指導を受ける。この手の注意が普段から足りない僕
は、目から鱗の気分になった。
 雪は問題無く安定している。ここは気持ち良く下堀沢を横断し、上堀沢のエントリー
ポイントに至った。

 エントリーポイントから下部を覗いても、僕には先が全く見えない急斜面だ。こんな
所をこの雪崩の時期に下って良いのだろうか、さすがに不安がよぎる。ここで三浦氏は
持参の30mロープを取り出した。ロ−プを使い沢に入り込み、まずは滑降個所の慎重
なインスペクションを行う。この偵察と雪崩チェックに1時間以上の時間をかけた。こ
こで3人とも雪崩にやられたら、どう考えてもその社会的影響は大きい。
 下が見えない以上、100%雪崩が起きないとは言い切れないが、まずよほど大丈夫
という結論となった。

 結構ドキドキものだが、ここはもう覚悟を決めるしかない。まずは三浦氏が当然のご
とく沢に飛び込んだ。慎重なターンを繰り返し問題なく安全地帯に逃げ込む。こういう
所を最初に入り込む人はよほど勇気ある。三浦氏の場合、更にその勇気を裏付ける科学
と経験があるから強いのだと思う。
 僕は彼の後を、氏の真似しながら降りるのが精一杯だった。
 沢の中では噴煙が噴き上げ、地熱により土が出ている所もあった。先に何が出てくる
か良く分からないので、安全地帯で滑降を少しづつ区切りながら、慎重に標高を下げた
。これは三浦氏の優しい心遣いもあったに違いない。下部で岩が出ている個所は少し右
岸の台地に逃げた。台地上も素晴らしい斜面だった。

 随分と長く感じたが、実際には下りだしてから30分ほどで梓川の河床と合流する。
雪に埋もれた河原を進み、釜トンネル直下でスノーブリッジを渡り、側壁を登ってトン
ネル入口に着いた。三浦氏によるとこれはおそらく上堀沢の厳冬期初滑降らしい。
 予想はある程度していたが、三浦氏レベルの中級は僕には最上級に当たる事が改めて
良く分かったりする。

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